国の「無断キャンセル対策推進協議会」をはじめ、近ごろ飲食業界にはさまざまな悪質な予約キャンセルを防ぐ仕組みが登場しています。そこでよく目にするのは「ノーショー」という言葉。
私も普通に使っているのですが、はじめの頃には違和感がありました。この記事では、飲食店(美容院)におけるノーショーについて解説していきます。
ノーショーとは
まずはノーショーという言葉の意味について、2つの観点でみていきます。
ノーショーは英語でいうNo Show
そもそもノーショー(ノーショウ)は英語ではNo Show、つまり「現れない」という意味があります。
このノーショーですが、英語圏では「ノーショーチャージ」と一つのセットで考えられます。チャージ、つまりノーショー時に料金を請求できる考え方で、アメリカのようなクレジットカード社会においては一般的です。
ノーショーはホテルや飛行機(航空券)で使う言葉
日本におけるノーショーという言葉は、もともとホテルや飛行機のような、部屋や席が決まったサービスにおいて使われてきた業界用語です。その意味は、単純に「予約していた客がなんの連絡もなく現れないこと」です。
それらの業界では、キャンセル料などを設定してノーショー対策をしています。
ノーショーが飲食店で使われるようになった背景
なぜ飲食店(美容院)でノーショーという言葉が使われるようになったのでしょうか。
理由は、飲食店(美容院)が、以前よりも簡単に予約して訪れられるものになったからだと考えられます。
要点は、以下の2つです。
- お店とのつながりが希薄化した
- 行くお店のリサーチや変更が容易になった
昔は顔なじみのお店で飲食をするのが一般的で、お店との間に一定の繋がりがありました。しかし、今はお店探しが当たり前になったので、行きつけを持つ人は少なく、お店の人との間に密な関係を築くケースは稀です。付き合いがなければ、ノーショーなどをしても関係を壊す心配がありません。つまり、ノーショーのハードルが下がってしまったのではないでしょうか。
また、今はこれから行くお店のリサーチが簡単なので、もし他にいい店があれば、誰のことを考えることもなく、軽い気持ちでお店を変更できてしまいます。このような気軽さゆえに、ノーショーが起きていると考えることができます。
ノーショーとドタキャンとの違い
ノーショーとドタキャンには、どのような違いがあるのでしょうか。
これらの違いに触れておくと、ドタキャンは客が予約時間ギリギリになってキャンセルの連絡をいれることで空席が生まれること。ノーショーは連絡もなしに予約客が現れず空席が生まれること。いずれもお店側にとっては押さえておいた時間・席・料理・人手など、大きなダメージを負うことになってしまいます。
これら無断キャンセル被害は計2000億円とも言われています。ノーショーとドタキャンに本質的な違いはなく、多くのお店の頭を悩ませる問題です。
まとめ
ノーショーは本来別業界の考え方で、人付き合いで成り立つような昔の飲食店には程遠かったものだったのですね。便利な飲食店予約サイトが発達したことで新たに生じた社会問題こそが、飲食店ノーショーだと言えます。飲食店を利用する私たちにとって決して他人事ではないので、少なくとも自分がやってしまわないよう注意したいところです。